2006年8月14日月曜日

2006年「アブラゼミの羽化」の記録

2006年「アブラゼミの羽化」の記録(来年のために)

今年の関東の梅雨明けは、前年比10日遅れの7月の30日。1951年以降では5番目の遅い記録的なものとなった。当然「セミの羽化」も同じように遅れ、8月中旬というのに例年の夏のように蝉しぐれは聞かれず、このまま夏も終わるのでは、と思うとやや淋しい。

今年の小金井公園でのどんどこ会主催の「セミの羽化観察会」は、再三の延期で、昨年(7月23日。ニイニイゼミの羽化を観察)に比べ20日遅い8月12日(土)に実施した。アブラゼミの羽化最盛期(おそらく1週間前の8月5日ごろ)は過ぎていたと思われるが、当日午後の激しい雷雨が上がり、18:00ごろには青空も出始め、予定通り観察会を開催。結果として、羽化が十分に観察され大成功だった。

アブラゼミの幼虫は、水平の木の枝や葉にぶら下がって羽化することが多く(水平のものにぶら下がる割合は約2/3といわれている)、高さは3~4mまでも上ることから(ニイニイゼミは1m程度と低い)、幼虫が木の高くまで上る前に観察したいと、集合時間より早めの19:00前に現地に到着。ちょうど、19:00~19:30ごろの間に、太い幹をかなりのスピードで上り始めていたことから(来年からの観察会は、19:00ごろ開始が望ましい。)、手が届かなくなる前に昆虫網で5~6匹捕まえ、土に刺した長さ1m弱の枯れ枝にとまらせて低い位置で観察出来るように移す(結果的には、移し変えたこと、細い枝で止るのに不安定なこともあって、21:30ごろは羽化の体勢に入らないものが多かった。幼虫を持ち帰り観察した人の話では、23:00過ぎに羽化)。幼虫を捕らえる場合には、無理に木の幹からひっぱって足の爪をちぎらないこと。ちぎってしまうと、移し変えても枝に止れず、羽化は失敗に終わる公算大。

20:00前あたりから、遅れて上る幼虫の姿をあちこちで観察。ちょうどそのころから、トチノキの3mの高さに張り出た葉に止ったアブラゼミの幼虫が、背中を割りはじめ、イナヴァウアー、逆上がりと、約1時間くらいかけて緑白色の羽を伸ばすまで逐次観察(対象物が遠いために、懐中電灯が明るくないと十分な観察が出来ないので注意)。他方では、ツクツクボウシの羽化が始まった矢先、ウマオイ(キリギリス科)に食われる状況もみとどけた。野生の生き物が、誕生(孵化、羽化、出産)する瞬間のリスクの高さをまざまざとみせつけられ、普段なかなか見られない貴重な体験となった。

今年は、「セミの羽化観察会」を前に、何度か小金井公園のクヌギの雑木林、トチノキ林近辺で羽化の様子をうかがったが、7月27日はニイニイゼミ1匹の羽化、31日はアブラゼミの幼虫を1匹見つけるに止まり、8月12日(土)の「セミの羽化観察会」は絶妙のタイミングであったと考えられる。

近辺でよく見られるセミは、次の5種程度で、鳴き始め順に・・・。

セミの名前(鳴き方)羽化の集中時期:標準時期(気候により前後あり)
ニイニイゼミ(チィ~・・・)7月中旬
ヒグラシ(カナ、カナ・・・)7月中旬
アブラゼミ(ジージー・・・)7月下旬後半~8月上旬
ミンミンゼミ(ミーン、ミン、ミンミ・・・)7月下旬後半~8月上旬
ツクツクボウシ(ツクツクボーシ・・・)8月上旬~中旬

以上からすると、2006年のセミの羽化の時期は、例年に比べ完全に10日~2週間遅れの状況だったと推測される。

(以上、2006年8月14日「はてな」へのタクさんの投稿から)